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阻止された女王アタリヤの陰謀

先日、イスラエル王国(北王国)のアハブ王の時代に行われた、預言者エリヤと異教の預言者たちとの戦いについて取り上げました。今回は、その少し後の時代のユダ王国(南王国)でのお話です。

キリストの家系が、ダビデ王から繋がるものであることは、あまりにも有名ですが、それが途絶えそうになった事件があります。それが、今回ご紹介する、アタリヤ(新共同訳:アタルヤ)の話です。

列王紀下から引用しましょう。

イスラエルの王アハブの子ヨラムの第五年に、ユダの王ヨシャパテの子ヨラムが位についた。彼は王となったとき三十二歳で、八年の間エルサレムで世を治めた。
彼はアハブの家がしたようにイスラエルの王たちの道に歩んだ。アハブの娘が彼の妻であったからである彼は主の目の前に悪をおこなったが、主はしもべダビデのためにユダを滅ぼすことを好まれなかった。すなわち主は彼とその子孫に常にともしびを与えると、彼に約束されたからである。  (列王紀下/ 8章 16-19節)
ユダ王国の王となったヨラムですが、その妻は、イスラエル王国の悪王アハブとイゼベルの娘でした。このアハブの娘こそ、アタリヤです。異教の神を崇めた父アハブ、母イゼベル同様、娘のアタリヤもやはり悪を広めました。

その後、ヨラムからアハジヤに世代が変わりますが、相変わらず悪を行います。
ヨラムはその先祖たちと共に眠って、ダビデの町にその先祖たちと共に葬られ、その子アハジヤが代って王となった。イスラエルの王アハブの子ヨラムの第十二年にユダの王ヨラムの子アハジヤが位についた。アハジヤは王となったとき二十二歳で、エルサレムで一年世を治めた。その母は名をアタリヤと言って、イスラエルの王オムリの孫娘であった。アハジヤはまたアハブの家の道に歩み、アハブの家がしたように主の目の前に悪をおこなった。彼はアハブの家の婿であったからである。 (列王記下/ 8章 24-27節)
しかし、イスラエル王国で起きたエヒウによる反乱に出くわしたアハジヤは、殺されてしまいます。
ユダの王アハジヤはこれを見てベテハガンの方へ逃げたが、エヒウはそのあとを追い、「彼をも撃て」と言ったので、イブレアムのほとりのグルの坂で車の中の彼を撃った。彼はメギドまで逃げていって、そこで死んだ。(列王紀下/ 09章 27節)
ここで、驚きの展開が待っています。
さてアハジヤの母アタリヤはその子の死んだのを見て、立って王の一族をことごとく滅ぼしたが、ヨラム王の娘で、アハジヤの姉妹であるエホシバはアハジヤの子ヨアシを、殺されようとしている王の子たちのうちから盗み取り、彼とそのうばとを寝室に入れて、アタリヤに隠したので、彼はついに殺されなかった。ヨアシはうばと共に六年の間、主の宮に隠れていたが、その間アタリヤが国を治めた。 (列王紀下/ 11章 1-3節)
急展開過ぎてちょっと意味が分からないかもしれませんが、自分の息子であり王であるアハジヤが死ぬと、母アタリヤは、他の王位継承者をすべて殺すわけです。自分が権力を握るために。孫であるヨアシをも殺そうとしました。ヨアシも殺されていたとすれば、キリストにつながる血統も絶たれてしまうことになっていたかもしれません。

しかし、聖句にあるように、ヨアシは保護されていたのでアタリヤの王位は長くは続きません。

7年目のある日、祭司エホヤダが7歳になったヨアシを即位させます。
そこでエホヤダは王の子をつれ出して冠をいただかせ、律法の書を渡し、彼を王と宣言して油を注いだので、人々は手を打って「王万歳」と言った。 (列王紀下/ 11章 12節)
そして、アタリヤの最期となります。
アタリヤは近衛兵と民の声を聞いて、主の宮に入り、民のところへ行って、見ると、王は慣例にしたがって柱のかたわらに立ち、王のかたわらには大将たちとラッパ手たちが立ち、また国の民は皆喜んでラッパを吹いていたので、アタリヤはその衣を裂いて、「反逆です、反逆です」と叫んだ。その時祭司エホヤダは軍勢を指揮していた大将たちに命じて、「彼女を列の間をとおって出て行かせ、彼女に従う者をつるぎをもって殺しなさい」と言った。これは祭司がさきに「彼女を主の宮で殺してはならない」と言ったからである。そこで彼らは彼女を捕え、王の家の馬道へ連れて行ったが、彼女はついにそこで殺された。(列王紀下/ 11章 13-16節) 
Athaliah1
アタリヤの最期
国民は喜んでいたとありますので、よほど悪い女王だったのでしょう。これでユダ族の血統、ダビデの血統は守られることになります。

上にも出ましたが、神様は、ダビデとの約束を忘れることがなかったわけです。
主はしもべダビデのためにユダを滅ぼすことを好まれなかった。すなわち主は彼とその子孫に常にともしびを与えると、彼に約束されたからである。 (列王紀下/ 8章 19節)
以下は、ダビデに対する神の言葉ですが、ソロモン以降の子孫にまで約束された内容だと言えます。
主はまたわたしに言われた、『おまえの子ソロモンがわが家およびわが庭を造るであろう。わたしは彼を選んでわが子となしたからである。わたしは彼の父となる。彼がもし今日のように、わが戒めとわがおきてを固く守って行うならば、わたしはその国をいつまでも堅くするであろう』と。  (歴代志上/ 28章 6-7節)

最終的にキリストを誕生させ、すべての人に救いをもたらすまで、神様の摂理は終わることがありません。今回取り上げたような劇的なできごとも、聖書に多く登場しますが、その一つひとつだけを捉えるのではなく、アダムとエバから始まるすべての歴史を俯瞰して眺めるなら、イスラエル(ヤコブ)の子、ヨセフが言ったように、「悪をも善に変える」神の壮大な計画の中にあることが感じられるのではないでしょうか。
あなたがたはわたしに対して悪をたくらんだが、神はそれを良きに変らせて、今日のように多くの民の命を救おうと計らわれました。  (創世記/ 50章 20節)

コメント

  1. 聖書には本当に神様の生きた役事が記されているんですね。
    間一髪のところをすり抜けながら、息を飲む内容ですね。
    改めて驚きました。。

    返信削除
    返信
    1. 旧約の世界は特に、王たちの栄枯盛衰、戦争、愛、裏切り、忠誠、狂気、罪、献身、絶望、勝利、と、まるでファンタジー小説やハリウッド映画のようですよね。

      削除

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